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「エキストラバージン」は、品質保証ではありません
同じ表示でも中身は同じではありません。エキストラバージンという等級が何を意味していて、何を意味していないのか。日本の制度の話まで。

スーパーの棚に並ぶオリーブオイルは、ほとんどが「エキストラバージン」と書かれています。500円のものにも、5,000円のものにも同じ言葉があります。同じ表示なのに、なぜこれほど値段が違うのか。まずこの表示が何を指しているのかから整理します。
エキストラバージンは「等級」です
エキストラバージンオリーブオイル(EVOO)は、ブランド名でも褒め言葉でもなく、国際オリーブ協会(IOC)が定めた等級のひとつです。判定には3つの側面があります。
- 製造方法:オリーブの果実だけを原料に、圧搾や遠心分離といった機械的な方法で搾ること。化学的な処理や溶剤抽出をしないこと
- 化学的な基準:酸度0.8%以下、過酸化物価20meq O2/kg以下、紫外線吸収(K232・K270)が規定値以下
- 官能評価:訓練を受けたパネルによる審査で、欠点がゼロ、かつ果実の香りが感じられること
この3つを満たさないものは、バージンオリーブオイル、さらに下はランパンテという等級になり、そのままでは食用になりません。
「合格ライン」であって、順位ではありません
ここが誤解されやすいところです。エキストラバージンは、あくまで合格ラインを超えたという意味です。酸度0.8%以下という基準に対して、優れた作り手は0.1〜0.2%という数字を出します。どちらも同じ「エキストラバージン」と書かれます。
等級は上限を決めるものであって、どれだけ良いかは教えてくれません。差は等級の内側にあります。
しかも化学的な基準も官能評価も、検査した時点の話です。搾りたてで基準を満たしていたオイルが、一年かけて店頭に届く間にどう変わったかまでは、この表示は保証しません。
日本ではどうなっているか
日本の法律(JAS)には、エキストラバージンオリーブオイルの品質基準そのものがありません。「食用オリーブ油」という区分はありますが、等級を定めた法的な決まりはない、というのが長らくの状態でした。
変化はあります。2024年3月に「エキストラバージンオリーブオイルの表示に関する公正競争規約」が告示され、日本オリーブオイル公正取引協議会が設立されました。IOCの規格に沿った理化学検査と官能検査の基準を満たした製品は、表示の中で等級を名乗れる。承認された製品には公正マークが付きます。
ただしこれは業界の自主的なルールで、加盟している事業者を拘束するものです。加盟していない事業者が同じ表示を使うこと自体を、直接禁じる仕組みではありません。
だから、数字を見ます
「エキストラバージン」の4文字だけでは、中身の差は分かりません。分かるのは、その一本が最低ラインを超えているらしい、ということだけです。
手がかりになるのは、等級ではなく個別の数字です。酸度がいくつか。ポリフェノールがどれだけ含まれていて、どの方法で測ったのか。いつ収穫して、いつ搾ったのか。ここまで書いてある一本は、書けるだけの中身があるということでもあります。
等級は入口の合格証です。そこから先を知りたいときに見るのが、数字と日付です。
誤解しないでほしいこと
安いオイルが偽物だ、という話ではありません。基準を満たしていれば、それはエキストラバージンです。日本の大手チェーンでも、産地で手摘みし、収穫後すぐに搾り、定温のコンテナで運んで酸度0.3%以下を保っている例があります。値段だけで中身は決まりません。
問題は「表示だけでは見分けられない」ことのほうです。だから確かめる手がかりを、売る側が出しておくべきだと考えています。
Olive1は、酸度・ポリフェノール量・測定方法・収穫年・搾油日を公開します。等級を名乗るだけで終わらせず、その内側の数字まで見えるようにしておく。それが選ぶ側にとっていちばん実用的だと思うからです。

